TOP > ケーススタディ
| 前期 | 当期 | 計画1期 | |
| 売上高 | 2,200 | 3,900 | 3,000 |
| 当期利益 | -300 | 150 | 100 |
| 借入金 | 1,500 | 1,300 | 1,200 |
単位(100万円)
本業の状況
建設業界は10数年来、一貫して公共工事の予算縮減が続いていますが、マンション建築等に特化している一部の会社を除き、ほとんどの建設業者は毎年完工高の減少に苦しんでいます。
A社もそのような環境の中で売上を確保するために赤字工事の受注にまで走ってしまい、結局大幅な赤字を計上している状態でした。
当然取引先の銀行からは債務超過を疑われ当社で調査をすることとなりましたが、調査の結果、債務超過だけでなく粉飾決算の存在まで明らかになってしまいます。
資金需要
一方でA社は、本業(建設業)を補う事業の柱を育てたいという社長の強い意志の下で、当社が関与する約1年前から上水道の整備事業に参入しようと技術習得を進め、DLを官公庁に発送するなど営業活動を始めていました。
半年程前からデモンストレーションと称して状態の悪い地区の上水道整備を無償で行うという営業活動を実際に10件程度進めていたため、当社でその内容を精査したところ、これまでの圧水方式などと異なる新規技術であり、そのデモンストレーションも好評でいくつかの官公庁からは実際の工事も発注され始めている状況でした。
そのため発注に応じていよいよ水道整備に要する高性能カメラや清掃ロボットなどの新規設備資金を必要としていました。
また設備資金とは別に前期の赤字と当期の急速な売上回復に伴い運転資金も不足しており、その資金調達も急務でした。
結果
売上拡大に伴う運転資金増の不足分及び設備資金について銀行から調達をすることはできましたが、業績回復が早くその結果をまだ決算で示せていないため、これら資金は暫定的に短期調達となっています。
決算で正式に1年間の業績として結果が示せた時点で長期返済へと借り換えることになっています。
調達できた要因
当社ではその数少ない受注案件とデモンストレーションのデータから工事の類型別の収益性を検証し、現在提案中の営業案件の進捗状況からその潜在需要の高さを具体的に説明し、今期の水道整備事業の売上を割り出しました。
資金調達が可能となった要因として、上記水道整備事業が有望であることをデータに基づき説明したことは重要でしたが、これはほとんど実績がなかったため説明にはかなりの労力を要しています。
それとは別に重要だったのは本業の建設業の方で、こちらが慢性的な赤字体質であっては水道事業の利益を吸い上げてしまうだけになります。今後の赤字解消のためのコスト削減策や施工体制の改善もまとめることでA社の収益増への道すじを理解してもらいました。
粉飾決算について
粉飾決算は問題で、本来であればそれだけで銀行とも取引停止となりかねません。
当社の方で詳細に調査したところ、粉飾決算は20年前から少しずつ累積しており、その当時は先代の社長の時代で現社長はまったく関与していなかったこと、現社長は厳しい受注環境の中で過去の粉飾された数字を承継せざるを得なかった事実が判明し、そのことを立証したことで前述の資金調達へこぎつけることができたものです。
また改めて今後は適正な業績開示を行い銀行との信頼回復に努力することを約束し、再生へのスタートを切ることができました。
| 前期 | 当期 | 計画1期 | |
| 売上高 | 33,500 | 34,000 | 35,000 |
| 当期利益 | -400 | 600 | 300 |
| 借入金 | 10,000 | 9,700 | 9,400 |
単位(100万円)
本業の状況
パチンコ業界は、ここ数年間はスロットの5号機問題で集客力が落ち、さらに1円パチンコ等低価格化が進んだことで客単価が下がり続け、過当競争は激化する一方です。
さらにメーカーが多額の広告費を投入している遊技機械の購入価格が高騰し続け、財務体力が蝕まれています。
B社もそのような環境の中で、バブル期の出店資金などによる過剰債務を抱えていたため10数年来店舗の設備を更新していない状態でしたが、その結果、老朽化した島・遊戯空間の狭さ、換金システム等で新しい設備を導入した競合店に集客差をつけら、B社全体の収益減が進んでいました。
資金需要
そのため老朽化した店舗のリニューアルにより最新の設備を導入することで集客力を向上させる必要がありました。
また設備だけでなくパチンコ業において重要なのは遊戯機械の更新支出で、こちらの方も十分な資金がなければ更新頻度が落ち、競合他店と差がつけば顧客満足度に影響します。
そのためリニューアルをすれば一時的に店舗を休業せざるを得ず、その間の運転資金、機械更新支出増額のための資金など資金需要は膨大なものでした。
結果
交渉の結果資金調達を受けることができ、リニューアル後は稼働も回復したため現在では地域1番店の地位を不動なものにしていますし、当社の収益全体にも貢献しています。
また同時に既存の他店舗に対しても遊戯機械の更新資金を追加投入したため、既存店舗の稼働率も向上し、収益増となったことで調達前よりもむしろ銀行との関係は改善しています。
調達できた要因
リニューアルする店舗を取り巻く競合店の状況や最近のパチンコ業界のトレンドを踏まえたマーケット分析が重要で、リニューアルによりいかに集客力を高め、売上を増やしていくかを具体的に説明する必要があります。
またこれに加えて重要なのがB社全体の営業方針や既存店舗の収益状況で、B社の場合顧客満足度を高めるための店舗運営にこれまでも取り組んでいたこと、既存店舗においてもコスト削減あるいはサービス向上による収益改善策を打ち出していたことで既存店の減収に歯止めがかかることとなり、リニューアルによるさらなる収益強化が明確となったため、複数のメイン行の協調融資を受けることができたと考えています。
現在ではこのようなリニューアルも数店舗実施することができ、また銀行との交渉を始めるべく次なる候補店を検討中です。
| 前期 | 当期 | 計画1期 | |
| 売上高 | 1,600 | 1,350 | 1,480 |
| 当期利益 | 10 | -70 | 10 |
| 借入金 | 1,360 | 1,320 | 1,300 |
単位(100万円)
本業の状況
採石は主にコンクリートの材料や道路の路盤材などに利用されるため、土木との関係が深く公共工事の予算縮減の影響で減収が続いています。
一方で生産物(採石)は、自社採石場から採掘するので生産コストが低いことから、コスト意識が薄く大口受注に傾倒しがちな売上至上主義が根付いています。
C社においても受注環境が悪化する中で売上を確保するために不採算の受注を増やして最終利益が赤字に転落している状態にありました。
資金需要
利益がない中では老朽化した設備の入れ替えなどできるような余裕もなく、生産プラントや大型重機の老朽化が進み、故障が頻発している状態でした。
このような重厚な設備は出荷減で稼働が低下してもランニングコストはあまり減りません。かなり固定費的な要素があり、売上が減るほどランニングコスト増から運転資金が不足することになります。
結果
売上減少で返済できなくなった借入金は返済を減額することで銀行の了解を頂きました。
現在ではその期の業績に応じて不足があるときは運転資金を調達でき、また設備投資も大型重機の購入資金の融資を毎年定期的に受けることができ、設備の老朽化にも歯止めをかけることができました。
調達できた要因
もともと生産コストが低く、採掘鉱山の生産余力は30年を超えていたので、損益分岐点を超える程度の生産を維持できればある程度採算は取れることになります。
また設備投資も5年といった短期で回収する必要はなく、低収益とは言え安定していることから10年以上の長い期間で回収することが可能です。
そのためこれまでの売上拡大ではなく、受注基準を明確にし採算を重視した受注活動を展開しました。また地元を中心に広くネットワークを有し、多数の取引先を顧客に持ちながらその後のフォローが少なく取引が断絶している先が多く見られました。
そのため営業人員も増員など営業体制を再構築し、ここ数年取引の断絶している顧客の発掘を進めた結果、採算ベースに乗った受注ができることとなり、売上はあまり伸びないものの利益を大きく伸ばすことができています。
| 前期 | 当期 | 計画1期 | |
| 売上高 | 4,000 | 3,900 | 3,400 |
| 当期利益 | 50 | -40 | 100 |
| 借入金 | 1,500 | 1,500 | 300※ |
単位(100万円)
※債務免除による減額後
本業の状況
食品製造業は原材料の高騰により原価が悪化しやすく、またプライベートブランドやOEMを展開している中小企業が多いため価格転嫁ができる競争力に乏しく、慢性的な赤字の状態が続くこととなります。
D社の場合これに加えて先代社長が長年放漫経営を続けた結果、過剰債務の状態に陥り、借入金の返済もできない状態でした。
赤字の状態では資金繰りもままならず、そのような状態が数年続く中でD社に対して取引をしていた銀行5行はすべて撤退し、債権者はすべてサービサーとなっていました。
そのためずっと返済を強要され続け、風評が広がる中で一部の取引先からは現金取引を打診されてますます窮境に陥っていきます。
資金需要
このままでは資金調達どころか自主再建も困難と判断し、スポンサー探しと新会社への事業の移転準備に着手しました。
D社にとっては事業の買取資金と新会社への移転後の運転資金がないと再生できぬままに破綻することになります。
結果
スポンサー探しの結果、幸運にも半年ほどでスポンサーが見つかり、スポンサーが運転資金を供与する条件で新会社へD社の事業を移転させることができました。
過剰な債務は旧会社に残したため、当然サービサーは異議を唱えてきましたが最終的に解決することができました。
またスポンサーを確保したことで信頼が高まり、破綻懸念が解消しただけでなく取引も拡大し、さらに主力商品を中心に価格改定も実現したため高収益企業に変身を遂げています。
そのため老朽化した設備どころか生産能力を増強した新規設備の導入資金も銀行から低利で調達することができ、借入金の少ない優良企業として今期も最高益を計上しています。
D社の場合、老朽化した設備の更新は本業の収益で賄う前提で5年計画としていました。
ところが新会社において業績が好転したため、追加の新規設備も含めて低利で一括融資を受けることができ、早期に収益増強を果たしています。B社は高収益と過剰債務を一掃させた健全な財務状況となっていたため、むしろ設備資金の調達は容易でした。
調達できた要因
本件で難しかったのはそれ以前の新会社設立のためのスポンサー探しとスポンサーからの資金調達であろうと思います。
スポンサー交渉を決めたのはD社の潜在的な収益力と社長の強い決断でした。
収益構造を調べた結果、D社独自の商品には魅力があること、過剰債務が一掃されれば黒字転換できる収益力があり生産や営業体制を見直すことで収益構造を転換しつつあることを説明し、スポンサーから過剰債務の一掃を条件に資金提供するという条件を取り付けました。
また、社長のD社事業に対する強い思いや誠実な態度もスポンサーがD社を信頼した要因であったと後日スポンサー企業の社長が話していたのが印象的です。
このような判断ができるのはやはり業界に精通している必要があるため、スポンサー探しは始めから業界と関係のある事業会社に絞って探しましたが、これも支援決定が早まった要因と考えています。
| 前期 | 当期 | 計画1期 | |
| 売上高 | 12,400 | 12,700 | 9,500 |
| 当期利益 | 50 | 30 | -1,700 |
| 借入金 | 9,300 | 10,500 | 3,500※ |
単位(100万円)
※債務免除による減額後
本業の状況
建設業界は10数年来、一貫して公共工事の予算縮減が続いていますが、マンション建築等に特化している一部の会社を除き、ほとんどの建設業者は毎年完工高の減少に苦しんでいます。
E社もそのような環境の中で地元では有力ゼネコンとして売上を確保していましたが、バブル期の不動産開発案件による過剰債務を抱えていたため借入金が返済できない状態にありました。
資金需要
建設業は比較的設備資金需要は少ないですが、大型工事など常に施主からの入金(着手金・中間金など)よりも工事原価の方が先行して発生するため、それぞれの工事毎の運転資金が過大で金融機関との取引が不可欠です。
E社の場合過剰債務の関係で資金調達が困難な状態に陥っており、その債務も現状のキャッシュフローでは返済が不可能の状態であったため、債務免除等債務の減額が必要な状態でした。
結果
金融機関はメインも含めて4行ありましたが、なんとか(メイン寄せもあったものの)中小企業再生支援協議会等も活用し債務免除の合意を取り付け過剰債務を一掃することができました。
一方で社長は経営責任をとって社長を退任することとなり、経営責任のない役員を社長に昇格させ外部から建設業に精通している役員を招聘し、メイン行からも出向を受入れて経営の透明性を高めることとなりました。
その結果、債務免除をしたメイン行から運転資金の調達も再開することができ、自主再建に向けて再スタートを切ることとなりました。
調達できた要因
E社の場合運転資金の調達よりも、債務免除について全行の同意を取り付けることの方がハードルは高かったですが、地元では有力企業で従業員数はもとより協力会社等取引先も多く、E社が破綻すれば地域経済への影響も大きかったこともあり、メイン行が前向きに支援してくれたことが最大の要因です。
それでもE社は県内でも施工技術が高く、地域でも評判の良い会社で、決して規模だけではなく事業継続する意義も見出せる会社でした。
さらに業歴が長かったことから地元での施工事例が多く、そのため地域の評判と膨大な施工データを活かすことでリフォーム業に参入できる余地があることが分かり、これによりメイン行以外においても特に支援を拒否する銀行はありませんでした。
また経営責任をとられた社長も役員としてE社に残り、営業担当責任者として辣腕をふるってらっしゃいます。







